1.小児期に行う矯正について
6歳~12歳の子どもの歯の萌えかわりの時期に行う矯正は1期矯正と呼ばれています。
1期矯正は歯にワイヤーを通して行う従来の矯正とは異なります。顎が狭い、小さいお子さんや反対咬合(受け口)のお子さんに対して行われる治療で、顎を広くしたり、反対咬合になっている顎を正しい位置に戻すための矯正です。
歯が生える土台である顎の骨を矯正することで、後に生えてくる歯の歯並びが自然に良くなる可能性があり、歯並びが悪くならないための“予防の矯正”とも言えます。
歯が大きく顎が小さいお子さんが増えていますが、歯のみの矯正となると歯をきれいに並べるスペースの確保が難しくなります。その結果、永久歯を何本か抜いてスペースを確保する判断をする場合もあります。反対咬合の場合も、下顎自体が前に出ているので歯のみの治療となると限界があります。
このように歯並びの乱れの症状によっては、歯だけを動かせばよいということではなく、顎のサイズを充分に発達させることや上下の顎の骨格のズレを整える必要が生じます。そのようなケースでは1期矯正が適応になります。
2. 1期矯正の3つのメリット
▽2期矯正をしなくてもよくなる可能性がある!!
2期矯正は基本的にワイヤー、ブラケットを使用する13歳から適応となる矯正方法です。歯並びや嚙み合わせを矯正することが目的の治療となり、大人が行う本格的な矯正治療と同様の方法になります。
1期矯正により顎の正常な発達をサポートすることで、2期矯正をしなくてもよくなるケースがあります。
▽2期矯正が必要でも、抜歯の必要がなくなる可能性がある
顎が小さいお子さんの場合、2期矯正で歯並びを整えるためには、抜歯して歯が移動するスペースを確保する必要があることが多くあります。
しかし、小児矯正で顎のサイズを正常に発達させておくことで、2期矯正が必要と判断された場合でも抜歯が不要になることがあります。もともとの歯の本数を残せる可能性が増えることは大きなメリットです。
▽2期矯正の期間を短縮できることがある
1期矯正を施しておくことで、2期矯正の期間を比較的短く済ませられるケースがあります。
2期矯正はワイヤーやブラケットを装着する必要があり、見た目の点や歯磨きのしづらさ、痛みなどお子さんの負担になります。そのため、2期矯正の期間を短くすませることができれば、お子さんの負担が減らすことができます。
3.1期矯正のデメリットについて
一般的な1期矯正では取り外しができない装置を付けるケースもありますが、装置を接着した歯や装置が邪魔で歯磨きしにくい場所が虫歯になりやすいため注意が必要です。
このようなリスクがあるため、当院では基本的に取り外し可能な矯正装置をおすすめしていますのでご安心ください。
4.まとめ
1期矯正は顎を正しい大きさや位置にするための矯正です。顎は歯が生える土台であり、後で歯だけを矯正しようとしても土台が悪いために抜歯する必要やきれいに治らないこともあります。逆に、顎を正しい大きさ・位置に矯正しておくと、後から生えてくる歯の矯正が不要になる可能性もあります。